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長野県での暖房計画 石油ファンヒーターやガスファンヒーターによる室内環境への悪影響について知っておこう

寒い寒い長野県の冬。新築を建てるときには、合わせて暖房の計画もしっかりとしておかなければ、冬に大変な思いをすることがあります。

現在のお住まいでは石油ファンヒーターや灯油ストーブなどのいわゆる燃料の「燃焼」を伴う暖房器具をお使いの場合もあるかも知れません。

そんな燃焼系の暖房器具。せっかく買ったばかりだから、新築でも使おうかな?と考えている場合少しだけ注意が必要です。

燃焼系の暖房器具に潜む、ちょっと知っておきたい知識をお伝えいたします。

 

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室内環境が悪化するため、石油ファンヒーターなどの暖房器具は新築時には避けておいたほうが無難です。

 

結論をお伝えすると、石油ファンヒーター、石油ストーブ(灯油ストーブ)などの石油系の燃料を室内で燃焼させて暖をとる暖房器具は、室内環境の悪化が懸念されるため、使用を控えておいたほうが無難です。

 

室内環境の悪化を具体的に述べると、

  • 二酸化窒素濃度の上昇
  • 総揮発性有機化合物(TVOC)濃度の上昇

を上げることができます。

 

二酸化窒素濃度が上昇すると、人体に対しての悪影響があることが以下の情報から理解することが出来ます。

 

窒素酸化物[ N O x ]
窒素酸化物(NOx)は、燃料を高温で燃やすことで、燃料中や空気中の窒素と酸素が結びついて発生します。工場や火力発電所、自動車、家庭など発生源は多様です。都市部の自動車から排出される窒素酸化物(NOx)による大気汚染が問題となり、現在も排出ガス規制などにより排出量を減らす努力が続けられています。

人体への影響…高濃度の二酸化窒素(NO2)は、のど、気管、肺などの呼吸器に悪影響を与えます。

出典:独立行政法人環境再生保全機構 大気環境の情報館

 

また、総揮発性有機化合物(TVOC)も同様です。

 

総揮発性有機化合物(TVOC)は、Total Volatile Organic Compoundsの略称となり、いわゆるシックハウス症候群の原因となる、揮発性有機化合物(VOC)を合計したものになります。

 

これらの濃度が上昇することにより、人体に悪影響を及ぼすことは想像に難くありません。

 

 

実験結果により濃度が上昇することも確認されています。 

 

独立行政法人 国民生活センター の実験結果によると、石油ファンヒーターのりようによって、二酸化窒素濃度の上昇・TVOCの濃度上昇も結果としてでているため、やはり室内での利用は十分に気をつけなければならないと思われます。

 

 

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 出典:独立行政法人 国民生活センター 石油ファンヒーターによる室内空気汚染

 

 

どうしても使いたい場合は、機械換気+定期的な窓を開けた換気などをおすすめします。 

推奨はしませんが、どうしても燃焼系の暖房器具である

  • 石油ファンヒーター
  • 灯油ストーブ
  • ガスファンヒーター

等を使いたい場合は、メーカーも推奨しているように「換気」を十分にすることが重要です。

 

図3 換気の有無による室内二酸化窒素濃度

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出典:独立行政法人 国民生活センター 石油ファンヒーターによる室内空気汚染

 

せっかく温めた空気を外気と入れ替えなければならないということですので、寒い日などはちょっと大変です。

 

上記が、室内環境の側面から見た石油ファンヒーター等の燃焼系暖房をしようしないほうが良い理由となります。

 

意外な事実。火を燃やすと水が出る。室内で燃焼系の暖房器具を使うと結露の可能性が高まります。

 

石油ファンヒーター・石油ストーブは燃料として灯油、ガスファンヒーターは主に都市ガスを燃料としている暖房器具です。

 

実は、これらの燃焼系の暖房器具を室内で使うと、室内に大量の水分が排出され箇条の水分が原因で結露を引き起こす一要因になることがあります。

 

火を燃やしているのに水分が発生する??なんだかイメージしにくい現象ですが、化学式で見てみるとその原理を理解することができます。

 

灯油は混合物なので正確な化学式を出すのは難しいため、同様に室内で燃焼させることが多い「ガス」を用いて、水分が発生することをお伝えしたいと思います。

 

下記に示しているのは、都市ガス及び参考でのLPガスの燃焼式となります。

 

ガスの主成分は C:炭素 及び H:水素となっていますが、そこにO:酸素が加わることにより、二酸化炭素と水が発生していることがわかります。

 

都市ガス

メタン(CH4)+酸素(2O2) → 二酸化炭素(CO2)+水(2H2O)

 

LPガス

プロパン(C3H8)+酸素(5O2) → 二酸化炭素(3CO2)+水(4H2O)

ブタン(2C4H10) +酸素(13O2) → 二酸化炭素(8CO2) +水(10H2O)

 

排出される水分量は、灯油の場合1Lの燃焼で約1Lの排出と言われていますので、おおよそ燃やした燃料と同程度の水分が室内に排出されます。(ガスの場合はこれよりも多いと言われています)

 

水分が排出されるという事は、なんだか潤いがあるような気がしますので、問題ないのかな?なんて考えたりしてしまいますが、実は住宅にとっては非常に大きな問題が発生する可能性があります。

それは「結露」です。

 

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あたためられた空気は水分をたくさん保有することができるようになります。石油ファンヒーターなどの燃焼系の暖房器具によりあたためた室内にも同じことがいえますので、暖かい空気+大量の水分という結露の要因を自ら作ってしまうことになります。

 

多くの住宅では、断熱性能が劣りやすいガラスやサッシ部分で結露を引き起こす要因となります。

 

 

新築時に断熱性能を高めた家を建てていたとしても、結露が起きやすい環境を自ら作ってしまっていては、結露は起きやすくなってしまいます。やはり、燃焼系の暖房器具は使わないようにしたほうが無難です。

 

 

一般的な知識を持つ建築会社であれば、新築時の暖房計画に燃焼系の暖房器具を前提とした計画を立てることは無いはずです。多くは住宅会社がしっかりとお客様に注意喚起せずに、ご入居後に知らずに使ってしまっているケースだと思います。

 

高気密・高断熱の家を建てれば寒い寒い長野県でも低エネルギー・室内環境の悪化の無いエアコンによる暖房計画で十分なことがほとんどです。

長野に適した住宅を建てて、豊かな新築ライフを満喫しましょう。 

 

 

参考情報

主な大気汚染物質と人体への影響|大気環境について|大気を考える|大気環境の情報館|大気環境・ぜん息などの情報館|独立行政法人環境再生保全機構

 

石油ファンヒーターによる室内空気汚染(商品テスト結果)_国民生活センター